本日のオススメ! アストル・ピアソラ「タンゴ・ゼロ・アワー」
「タンゴ」、「喜劇(コメディア)」、「悲劇(トラヘディア)」、「娼館(キロンボ)」、再生ボタンを押してから1曲目冒頭に聴ける、男性陣による野太い掛け声のようなものは先に挙げた言葉を連呼しています。これはどういうことかというと、ピアソラは自身がクリエイトする音楽の事を「ヌエボ・タンゴ」と名付けていてその「ヌエボ・タンゴ」を構成する要素が先に挙げた言葉たちということです。タンゴ、喜劇と悲劇、そして娼館。
何というかピアソラ一流の諧謔のようなものなのかなと個人的には解釈しています。
(当時の)NYアンダーグラウンド・ラテン・レーベル、アメリカン・クラーヴェのオーナー、キップ・ハンラハンがプロデュースを手掛けたいわゆる「クラーヴェ三部作」からの86年作。ピアソラの最高傑作と名高い本作ですがやはり初めてピアソラを聴く方にもオススメしたい一作であります。
アルゼンチン・タンゴは「ダンス音楽なのに打楽器が不在」というユニークな構成なので、その代わり鍵盤楽器であるピアノが他ジャンルと比較しても非常に独特な役割を担うので、その辺りを意識して聴くと色々発見があって面白いかもしれません。
「タンゴの暗殺者」、これはピアソラに批判的だった人々がピアソラの事を評した言葉ですが、それくらいピアソラが目指した「ヌエボ・タンゴ」は急進的かつ革新的で野心に溢れる音楽でした。まあ本人のクセの強すぎる性格etcもあってか前述の言葉に象徴されるように強烈なバッシングを受けることもしばしばありましたが、アルゼンチン・タンゴをひとつの音楽芸術として世界的に認知させたのは間違いなくピアソラの存在に依るところが大きいのもまた事実といえます。
ちなみに”ゼロ・アワー”とはピアソラ曰く「絶対的な終わりであると同時に絶対的な始まりでもある時間」とのこと、とにかく自信と確信に満ち満ちたピアソラの傑作アルバムです。
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