【本日のおすすめ】宮本文昭 / 蒼の薫り (1991)

【本日のおすすめ】
宮本文昭 / 蒼の薫り (1991)

ライトクラシックというジャンルをご存じでしょうか。
その名の通り、クラシック音楽を親しみやすくポップなアレンジで調理した、まさに軽いクラシック。
でも、本格的なクラシック好きからは嫌厭されるし、一般的な音楽好きも敢えて手に取る動機もないというか、誰も得をしなさそうな(失礼)、微妙な立ち位置だよね…と思っていたのですが。
や、もしかしたら面白い鉱脈かもしれない…ここにきてそんな可能性が出てきたのです。

日本を代表するオーボエ奏者の宮本文昭。
自分はのだめカンタービレ関連で知りましたし、指揮者としても活動したり、東京シティ・フィル音楽監督も務めたこともあるクラシック界の有名な人物です。
そんな彼も90年年代初頭にはライトクラシックな作品を数枚制作していました。

和レアリック。そう、和レアリックです。
畑こそクラシックなのだけど、ここで披露されているのは完全にニューエイジ・フュージョン。
しかも全曲ほぼオリジナル。ライトクラシック特有の質感は把持しつつも、クラシックのアレンジ集にあらず。
水の底に佇んでいるような、鎮静効果のあるヒーリングミュージックが並んでいます。
(そういえば娘のヴァイオリニスト宮本笑里も癒し系コンピ「image」に参加していたっけ。)

タブラから始まる情景描写M1「木陰にて」(原曲はクインシー・ジョーンズ)、サックスも入ってもう直球サマー・フュージョンM3「エンドレス・ブルー」。
霞がかったヨーロピアン幻想に包まれるM6「バラの魔法」、ありし夏の日の追憶が溶けていくドゥーワップ・ニューエイジM9「夏の少女」…。
オーボエのメランコリックな響きにとろんと微睡む音像も相まって、心が解れていくよう。

参加しているパーソネルの中でも鍵なのが鳥山雄司と佐橋俊彦。
とりわけ鳥山の作編曲である表題曲M2に触れないわけにはいきません。
際立って美しいメロディ、バレアリックなシンセ、滴り落ちるピアノ、憂いを帯びたオーボエ。
自然の中にブルーな気持ちで揺れているような……名曲です。

こういう一枚に出会えるから「その他」のコーナーを掘るのをやめられない。


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