【本日のおすすめ】 Sade / Stronger Than Pride (1988)

コロナ禍が訪れたとき、ホームリスニング、つまり家でゆっくり聴ける音楽が重宝されました。

そんな頃にSNSで流れてきた、とある海外のデザイナーのイラスト。
それは、部屋に寝そべった彼の絵姿と、それを取り囲むようにLPジャケットが散りばめられたものでした。

アンビエントやニューエイジのマニアックな作品が占めるなか、「へえ、この並びにこの作品なんだ」と気付き、魅力を再発見できたのが、シャーデーの3rdアルバムです。

シャーデー＝都会の夜のお洒落なBGM、というイメージは多くの方が描くところではないでしょうか。
確かに、有名な1stと2ndは間接照明、ベッドのシーツの肌触り、ガラスに沈む紺色とネオン……を連想するようなムーディなサウンドでした。

しかし、今作になると雰囲気はがらりと変わり、陽光の降り注ぐ砂浜や、揺れる緑と木漏れ日の方が似つかわしい、オーガニックな世界観が広がっています。

スローテンポであることはそのままに、健康的で伸びやかな楽曲で統一。
Roxy Music「Avalon」などが録音された、バハマはナッソーのコンパスポイント・スタジオでセッションが行われたことも影響しているかも知れませんね。

現行のアンビエント～ニューエイジとも自然に繋げられそうな、そよ風纏う珠玉の一枚。
バンドのディスコグラフィ中では地味な立ち位置かも知れませんが、長く付き合えるだろう素敵作です。