ザ・フレーミング・リップス12年ぶりの来日!ライブレポ&おすすめアルバム紹介
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ザ・フレーミング・リップスの来日公演を観た!
ミュージックファーストのノザキです。
2025年3月に12年ぶりの来日を果たしたUSのロックバンド、ザ・フレーミング・リップス。その来日公演を目撃した私は、数日経った今も興奮冷めやらず、リップスしか聴けない耳になってしまいました。
ですが今回、このコラムでライブレポを書かせていただくことになりましたので、ここで気持ちの整理をさせてください。レコード店のコラムらしく、おすすめ曲やアルバムの紹介も織り交ぜながら書いていきますので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
ザ・フレーミング・リップスとは
ザ・フレーミング・リップスは、80年代半ばより活動をスタートさせたUSオクラホマ州出身のロックバンドです。長いキャリアの中でその音楽性は大きく変化を遂げていきますが、これぞフレーミング・リップスだ!という唯一無二で不思議なサイケデリック・サウンドを確立したのは、1999年にリリースされた9枚目のアルバム「The Soft Bulletin」です。
今回の来日公演でも、アンコール後の最後の曲は本アルバムの1曲目、「Race for the Prize」が演奏されました。
空間全体がひび割れているかのように歪んみ炸裂するドラムと、柔らかで壮大なストリングスが見事に融合する素晴らしいアンセムです。
「Yoshimi Battles the Pink Robots」の再現ライブ
今回の来日公演は、この次にリリースされた10枚目のアルバム「Yoshimi Battles the Pink Robots」の再現ライブでした。
タイトルの「Yoshimi」とは、ボアダムスやOOIOOで活動するYoshimiO氏のことです。フレーミング・リップスのメンバーが彼女の音楽やパフォーマンスにインスパイアを受け制作されたこのアルバムは、アコースティックギターや耳に残るストレンジな電子音、ダンサンブルな打ち込みのビートが随所で取り入れられ、前作の壮大な音像からは打って変わって、メロディー際立つポップでキュートな印象のアルバムとなっています。
そんな大好きな「Yoshimi ~」の再現ライブ。フレーミング・リップスのライブを観るのは初めてでしたが、本当に最高のライブでした。
Corneliusとのダブルヘッダー
正直に申しますと、Corneliusとのダブルヘッダーがアナウンスされた時、フレーミング・リップス単独でたっぷり観たいな、と思ってしまった自分がいます。(もちろんCorneliusは大好きですが。)
ただ、来日前のインタビューでCorneliusについて語っていたり、さらにはライブ当日の演出もあり、そんな気持ちから一転、日本でしか観ることができないスペシャルなライブだと感じることができました。
会場BGMと照明が消えると、スクリーンには「次はコーネリアス!」と呼び込むフレーミング・リップスのボーカル、ウェイン・コインが映し出されました。おそらく、1999年にアメリカツアーで共演した際の映像かと思われます。
どのような経緯でこのダブルヘッダーが実現したかは分かりませんが、この演出を観て、フレーミング・リップスチームが「日本でCorneliusと共演する」ということに意味を見出しているように感じらました。
世界的なアーティストの中に、人と人との繋がりを大切にしながら小さなライブハウスで活動するバンドマンを見た気がして、とっても胸が熱くなりました。
そして、そんなバンドマンはこの来日公演をさらに特別なものにしてくれました。
それはYoshimiOのゲスト出演です。
YoshimiOがフレーミング・リップスのステージへ!
「Yoshimi ~」では、YoshimiOの話し声やシャウトが収録されていますが、なんと今回のライブでYoshimiOがゲストミュージシャンとしてパフォーマンスを行いました。
YoshimiO氏のinstagramの投稿によると、フレーミング・リップスと演奏したのはアルバムのレコーディング以来、2度目のことだそうです。
Yoshimiという名前を冠したアルバムを作っておいて、今回が2度目、ライブの出演は初めてなんだってことにとっても驚きました。アルバムリリースから20年以上経った今、日本でのライブで共演が実現するという、歴史的な瞬間に居合わせられたという喜びを感じました。
圧巻のステージング
フレーミング・リップスのライブはアルバムの1曲目「Fight Test」から始まりました。ドラム + パーカッションでディレイ感を生み出した分厚く力強いビート、その上に、リバーブの強くかかった、程よくヘロヘロなウェインのボーカルがとっても気持ちよく、一瞬で心を掴まれました。
前半最大の見せ場であるアルバム3曲目の「Yoshimi Battles the Pink Robots pt.1」が始まると客席も大興奮。
ステージ上に立つ巨大なピンクのロボットと一緒に踊り、「ヨシーミ!」と大きな声で歌いました。
そしてそのまま次の曲「Yoshimi Battles the Pink Robots pt.2」に入ると、フードを被って演奏していたパーカッショニストが突然マイクを持って前に飛び出しシャウトを始めました。このパーカッショニストこそがYoshimiOだったのです!
YoshimiOがシャウトし、ウェインは紙吹雪を客席に噴射しまくり、後ろの映像もなんかもうカラフルギラギラですっごい!なんなんだこれは!楽しすぎる!これがフレーミング・リップスのライブか!
チャーミングなライブ演出
巨大なロボットや紙吹雪の他にも、バルーンが客席に大量に飛んできたり、巨大な目玉と唇が登場したり、ウエィンがバルーンの中に入ったりと様々な演出がありました。一見派手に見える演出ですが、人力でロボットやバルーンを膨らませたり、その膨らませ待ちの時間があったりと、お茶目な一面が垣間見えました。その様子はまるで学園祭の出し物や、芸人の「もう中学生」のネタを見ているような、そんなチャーミングさがあり、不思議な親しみやすさを感じました。
特に、ウェインがサーチライトを持って客席を照らす演出は、観客一人ひとりに直接メッセージを伝えているような気がして胸が熱くなりました。
Do You Realize??
アルバム終盤の最重要曲「Do You Realize??」はとにかく圧巻でした。と言っても、脳内物質出まくりだったため、正直あまり記憶がありませんが、歌詞に込められたメッセージを頭の中で思い浮かべていました。
せめてこの曲を聴いている間は、せめてこのアルバムを聴いている間は、せめてこのライブを観ている間は、せめてこの人生を生きている間は、自分のことを肯定してあげよう。フレーミング・リップスはそんなことを歌ってくれているんだと思いました。
アナログ盤にはDo You Realize??の日本語詞が
私物のYoshimi Battles the Pink Robotsのレコードです。
見開き部分には「君は美しい顔をしている。」、B面には「君の知っている人は皆、いつか死ぬ。」と書いてあります。日本語で書いてありますがUS盤です。
私的おすすめアルバム「Clouds Taste Metallic」
本当に素晴らしいライブだったんですが、個人的には7枚目のアルバム「Clouds Taste Metallic」が好き過ぎるので、このアルバムから1曲でも良いから聴きたかった。
せっかくなので最後にこのアルバムを紹介させてください。
歪んだギターと美しいメロディー
ギターのロナルド・ジョーンズは、このアルバムを最後にバンドを脱退、これをきっかけにギター・ロック・サウンドから前述した「The Soft Bulletin」のようなサウンドに移行していくことになります。
「Clouds Taste Metallic」は、このノイジーなギターと、後のサウンドに繋がる壮大さを合わせ持ちながらも、ど真ん中に美しいメロディーが鎮座する、最高のロック・アルバムだと思っています。
名プロデューサー「デイヴ・フリッドマン」
これはこのアルバムに限りませんが、空間全体を爆音で鳴らすドラム・サウンドは本当に気持ちが良いです。
これは、プロデューサーのデイヴ・フリッドマンによる仕事と言えるでしょう。
日本だと、ナンバーガールの「SAPPUKEI」や「NUM-HEAVYMETALLIC」のプロデュースが有名ですね。
私もデイヴ・フリッドマンのサウンドに初めて触れたのはナンバーガールで、当時は無邪気にアヒトイナザワすげー!と思っていました。もちろんとってもかっこいいプレイをするドラマーですが、後にフレーミング・リップスと出会い、デイヴ・フリッドマンの存在を知り、プロデューサーの仕事ってこれか!と思いました。
デイヴ・フリッドマンが手掛けた MGMT「Time to Pretend」
デイヴ・フリッドマンの仕事っぷりを感じられる1曲として、MGMTの「Time to Pretend」という曲を紹介します。
EPに収録されているバージョンはシンセサウンドが前面に出ていますが、後にデイヴ・フリッドマンがプロデュースしたアルバム「Oracular Spectacular」に収録されたバージョンは、生感のあるヘビーなドラム・サウンドを際立たせ、ロックなアンセムとして見事生まれ変わらせました。
是非聴き比べてみてください。
EP収録版
Oracular Spectacular収録版
私の人生の一曲「Lightning Strikes the Postman」
僕がフレーミング・リップスの中で一番好きで、さらには人生のプレイリストにも必ず入ってくる1曲が「Lightning Strikes the Postman」です。
1コーラスを3回繰り返すだけのシンプルな構成ですが、その甘いメロディーが切ない歌詞と重なって胸にグッと来るんです。歪んだギターと爆音のドラム、壮大なシンセ・ストリングスがこのシンプルな曲をどこまでもダイナミックにしています。何回でも繰り返し聴いてしまう大好きな曲です。
その他にも、When You Smile、Bad Days、Christmas at the Zooなどなど、素晴らしい曲がたくさん。
このレコードをいつか手に入れたい。
今出回っているものは1万円を超えるのでなかなか手が出ないですが、数年前、某フリマサイトでカセットを安くで発見し購入することができました。
レコードを手に入れるのを目標に、しばらくはカセットで楽しみます。
LOVE!フレーミング・リップス
長文となってしまいましたが、フレーミング・リップスへの想いをたっぷり吐き出すことができ、ようやくフレーミング・リップス以外の曲を聴くことができそうです。
リップス・ヘッズの皆様も、まだ聴いたことがない皆様も楽しんでもらえていたら幸いです。
夏になったらグッズのTシャツを着て出勤しようと思いますので、同志は是非お声がけください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。