マスター・サウンドのレコードの価値と買取相場

マスター・サウンドとは?

  

最近松田聖子のマスター・サウンドのレコードがまとまって入荷して
その中でもなぜがファースト「SQUALL」とセカンド「North Wind」が高額なことに ?マークがついたOです。

シティ・ポップやジャズのブルーノート・レーベルのレコードなど需要が高まり価値がどんどん上がってきている商品がありますが、その中のひとつ 今回は「マスター・サウンド」についてコラムを書こうと思います。


「マスター・サウンド」とは? ※以下メーカー情報引用

レコード技術の極限の追求から生まれた、新しいマスター・サウンド・シリーズは、最新の録音方式の殆ど全てを駆使しているだけではなく、レコード盤自体の形状に至る迄、根本的に追求し直し、カッティングから、メッキ、プレス、材料、品質管理迄、あらゆる工程で現在考えうる最高の状態で製造されています。クリアーで豊かなサウンドは、再生装置のチェックにも最適と言えます。
特に、マスター・テープの作製や、カッティング・マスター・テープ作製の過程のデジタル化により、SN比、ダイナミック・レンジが飛躍的に向上。CBS・ソニーが自信を持ってお届けする、美しい音の迫力を、お楽しみください。




マスター・サウンドではいくつかの録音方法やカッティング技術が施されていますが、主に「デジタル・リマスタリング(DM)」と「デジタル・レコーディング(DR)」の2パターンが多く存在します。
ちなみに帯上部にも「DM」「DR」とわかりやすく表記されてます。

「デジタル・リマスタリング(DM)」とは?

「デジタル・マスターテープでカッティング」
アナログ・オリジナル・テープから優秀な音質のものを選び、直接デジタル方式でカッティング・マスターテープを作製し、カッティングするデジタル・リマスタリング方式を採用。
SN比、歪率も向上、澄みきった音質を実現します。

「デジタル・レコーディング(DR)」とは?

「コンピューター符号で生そのままを録音再生」
デジタル・レコーディング方式は、従来の、信号を直接記録する方式とは異なり、信号をコンピューター等で使うデジタル符号に置き換えて記録、再生します。このため、録音段階での音質の劣化が驚くほど低減。ダイナミックレンジも広がり、雑音の少ないクリアーな音を原音に迫る迫力で再現します。


といったソニー社からの説明書きがあります。
あくまでも推測ですが発売タイミングがCD発売開始時期の82年ごろと重なっていることから、CDに対する対抗馬的にリリースされたのではないか、とも勝手に思っています。
ちなみに作品のリリースはソニー社のレコードがメインながら、キャニオン社のレコードもマスター・サウンドをリリースしています。

通常盤レコードとマスター・サウンドとの違い

音の違い
メーカーが音の良さを追求したレコードだけあって、音は良いと思います。
ただ音の比較は個人の受け方によって違うし(当店のスタッフの意見も様々です)、オーディオ装置など諸々条件がありますので、音質の部分は各々が満足できればそれで良い、と個人的には思います。

盤質とジャケットの違い
盤自体は重量盤ほどではないですが、ほんのり重く少々厚みを感じます。
ジャケットは特殊デザインのスリーブとマスター・サウンドの解説とチラシなどが入っており、サイズも一回り大きいです。

価格
当時の新品LPの販売価格は、通常盤より200円~400円ぐらいマスター・サウンドの方が高いです。

発売日
通常盤よりも先にリリースされている商品は無いようで、基本的には一ヶ月ぐらい後、もしくは何年後かに発売されているようです。あと通常盤のリリースが無くマスター・サウンドのみでしかリリースされていない作品もあります。






と、マスター・サウンドの説明はこの辺までにしておいて、
このコラムの視点はそこではありません。


このコラムの本題は「マスター・サウンドの価値」に重点を置きます。


なぜ松田聖子のファーストとセカンドは突飛に高いのか?

通常盤とマスター・サウンドの買取価格の差は?

マスター・サウンド独自リリース作品とあまり知られていない作品

実はマスター・サウンドにカセット版が存在した!

など『現在の価値と相場』についてを調べてみたので、その辺りを軸にコラムを進めていきます。


なぜ松田聖子のファーストとセカンドは突飛に高いのか?

調べてみて少しだけこれが理由じゃないのかな?という持論に行きつきました。
まず松田聖子のマスター・サウンドも通常盤の大体一か月後に300~400円高くリリースされています。
どちらが売れていたかはあくまでも想像ですが、やはり早くリリースされた通常盤の方が圧倒的に多いでしょう。
なぜなら一か月待ってマスターサウンドを買う理由を考えたときに
1. ファンなので揃えたい(きっと通常盤も買っている)
2. 通常盤と音の比較をしてみたい(きっと通常盤も買っている)
3. たまたま買いに行ったレコード屋さんにマスター・サウンドしか無かった(きっと通常盤は買っていない)
の3パターンが主になると思うんですが、その場合そもそも通常盤も買っているファンの方がきっと多いと思うのです。どちらかというとライト・ファンが買うというよりは、ファン・ニーズ用途が強いようにも思います。
しかも83年リリースの「Candy」以降はCDもほぼ同時タイミングでリリースされ購入の選択肢が増えます。
そうなるとあえて高音質で少し高くて後発のマスター・サウンドを購入する方がそこまで多いとは思えないのです。
なので販売数も通常盤よりも少なく、中古価値は通常盤よりも高くなると予測しています。

では松田聖子の場合、ファースト「SQUALL」とセカンド「North Wind」」のみなぜ高いのか?
実はサード・アルバム「シルエット」以降から11枚目の「The 9th Wave」までのアルバムは全て約一か月後のリリースなんですが、ファーストとセカンドのみ3年後のリリースなんです。
しかも2点ともマスター・サウンドがリリースして半年後には初CD化もされます。

・「SQUALL」リリース・データ
  通常盤LP= 1980年8月発売、マスター・サウンド =1983年6月発売、CD=1983年12月発売

・「North Wind」リリース・データ
  通常盤LP= 1980年12月発売、マスター・サウンド =1983年6月発売、CD=1983年12月発売

つまりコアなファンによる購入のみで、サード・アルバム以降とは販売枚数がかなり違うのではないかと思います。小売店も3年前の作品をたくさん仕入れるのはなかなかリスクがありそうです。他の作品と比べて極端に販売枚数が少ないのではないか?というのが自分の推測です。


通常盤とマスター・サウンドの買取価格の差は?

そんなマスター・サウンドの現在の相場価格。高いのもあればそこまで高くない作品もあります。
人気不人気と販売枚数が影響しているとは思いますが、通常盤との価値の差異が明らかなタイトルもあります。
そういった通常盤との価値と比較することで、マスター・サウンドの貴重性を表してみようと思います。
比較的有名な人気作でリスト比較してみたので参考にしてみてください。
・当店での現時点の買取金額になります。
・帯とライナー付、付属品がある場合は付属品付、盤質とジャケットの状態は美品を基準にした金額になります。




【邦楽】


松田聖子 / SQUALL
・マスター・サウンド (30AH1607)
 8,000円買取
・通常盤 (27AH1032)      
 200円買取

松田聖子 / North Wind
・マスター・サウンド (30AH1608)
 5,000円買取
・通常盤 (27AH1154)      
 50円買取

大滝詠一 / ロング・バケーション
・マスター・サウンド (30AH1616)
 3,500円買取
・通常盤 (27AH1234)      
 1,000円買取

大滝詠一 / EACH TIME
・マスター・サウンド (30AH1617)
 1,500円買取
・通常盤 (28AH1555)シュリンク付
 400円買取

山下達郎、鈴木茂、細野晴臣、他 / パシフィック (ポスター付き)
・マスター・サウンド (28AH502)
 
3,500円買取
・通常盤 (25AH426)      
 
3,000円買取

山口百恵 / again百恵
・マスター・サウンド (30AH1222)
 2,000円買取
・通常盤 (28AH1435)      
 200円買取

中島みゆき / はじめまして
・マスター・サウンド (C32A0375)
 1,500円買取
・通常盤 (C28A0372)      
 50円買取

坂本龍一 / サマー・ナーヴス
・マスター・サウンド (25AH507)
 2,500円買取
・通常盤 (20AH1537)       
 2,000円買取




【洋楽】


マイケル・ジャクソン / スリラー
・マスター・サウンド (303P-431)
 2,500円買取
・通常盤 (253P-399)      
 1,000円買取

マイケル・ジャクソン / オフ・ザ・ウォール
・マスター・サウンド (303P-273)
 3,500円買取
・通常盤 (253P-149)      
 1,000円買取

ピンク・フロイド / 炎  (付属完備)
・マスター・サウンド (30AP1875)
 10,000円買取
・通常盤 (SOPO100)アウター付き
 5,000円買取

ピンク・フロイド / ファイナル・カット
・マスター・サウンド (30AP2534)
 
6,000円買取
・通常盤 (25AP2410)      
 
1,800円買取

ピンク・フロイド / 時空の舞踏
・マスター・サウンド (30AP2265)
 10,000円買取
・通常盤 (25AP2260)      
 1,800円買取

ジェフ・ベック / ゼア・アンド・バック
・マスター・サウンド (303P-274)
 2,000円買取
・通常盤 (253P-220)      
 200円買取

サイモン&ガーファンクル / グレーテスト・ヒット
・マスター・サウンド (30AP2259)
 1,500円買取
・通常盤 (25AP1367)      
 100円買取

TOTO/ 聖なる剣
・マスター・サウンド (30AP2312)
 1,500円買取
・通常盤 (20AP2280)      
 300円買取

ボズ・スキャッグス / シルク・ディグリーズ
・マスター・サウンド (30AP1878)
 1,500円買取
・通常盤 (25AP3)            
 150円買取

ビリー・ジョエル / ストレンジャー
・マスター・サウンド (30AP1874)
 1,500円買取
・通常盤 (25AP843)        
 100円買取

シンディー・ローパー / NYダンステリア
・マスター・サウンド (303P513)
 1,200円買取
・通常盤 (253P486)      
 500円買取

ブルース・スプリングスティーン / ボーン・イン・ザ・USA
・マスター・サウンド (30AP2878)
 1,200円買取
・通常盤 (28AP2850)      
 300円買取

E.L.O. / ディスカバリー
・マスター・サウンド (30AP1877)
 2,500円買取
・通常盤 (25AP1600)      
 500円買取

アース・ウィンド&ファイアー / ベスト・オブ
・マスター・サウンド (30AP1876)
 1,000円買取
・通常盤 (25AP1190)      
 400円買取




【ジャズ / クラシック】


マイルス・デイヴィス / ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン
・マスター・サウンド (30AP2137)
 800円買取
・通常盤 (25AP2095)      
 300円買取

ハービー・ハンコック / フューチャー・ショック
・マスター・サウンド (30AP2550)
 600円買取
・通常盤 (25AP2672)      
 300円買取

ザ・スクエア / メイク・ミー・ア・スター
・マスター・サウンド (25AP1007)
 600円買取
・通常盤 (20AH1697)      
 300円買取

マリーン / マイ・フェイバリット・ソングス
・マスター・サウンド (32AH1603)
 500円買取
・通常盤 (28AH1507)      
 200円買取

グレン・グールド / バッハ:ゴールドベルク変奏曲
・マスター・サウンド (32AC1668)
 2,000円買取
・通常盤 (28AC1608)      
 1,000円買取

 バーンスタイン / ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
・マスター・サウンド (25AC808)
 300円買取
・通常盤 (20AC1586)      
 10円買取


マスター・サウンド独自リリース作品と
あまり知られていない作品

ここでは「マスター・サウンドのみ」でしかリリースされていない人気盤と、意外と知られていない作品の相場をご紹介。
改めて見て「これ見たことないな」「そうだったのか」的なタイトルもチラチラあります。
まだまだ深いですね~。
・当店での現時点の買取金額になります。
・帯とライナー付、付属品がある場合は付属品付、盤質とジャケットの状態は美品を基準にした金額になります。


【マスター・サウンド独自リリース作品】

川崎 / ミラー・オブ・マイ・マインド  / 25AP1012
 8,000円買取

ソニア・ローザ / サンバ・アモール  / 25AH505
 3,500円買取

リチャード・ライト / ウェット・ドリーム  / 25AP1141
 1,500円買取

ハービー・ハンコック / ダイレクトステップ  / 30AP1032
 2,000円買取

ハービー・ハンコック / ザ・ピアノ  / 30AP1033
 1,500円買取

大野雄二 / コスモス  / 30AH1202
 3,000円買取

大野雄二 / スペース・キッド  / 25AH501
 2,000円買取

佐藤允彦 / シャガール・ブルー  / 30AP1953
 800円買取

中国的火車 / 中国巨大SLの咆哮  / 30AG984
 
1,500円買取




【あまり知られてないマスター・サウンド作品】

フランク・ザッパ / シーク・ヤブーティ / 40AP1357
 8,000円買取

ロジャー・ウォーターズ / ザ・プロミス・アンド・コンス・オブ・ヒッチハイキング / 30AP2877
 8,000円買取

メン・アット・ワーク / ワーク・ソングス / 303P-432
 1,000円買取

カーラ・ボノフ / 麗しの女 / 30AP2296
 1,000円買取

堀ちえみ / プラム・クリーク  / C30A0358
 1,000円買取


マスター・サウンドのカセット版!


こちらはレコードではなく、マスター・サウンドのカセット版、その名も「メタル・マスター・サウンド」!

メタル・マスター・サウンド・シリーズは、製造工程のすべてに、ハイ・グレードな仕様と新技術を投入してつくられています。「夢の超合金」といわれる高性能アモルファス・ヘッドをプリンターに全面採用したのをはじめに、CBSソニー技術陣の長年の研究成果を、積極的に導入。従来のミュージック・カセットにはない、きわめてクリアーな、迫力あるサウンドをお届けします。

とソニー社のインフォメーションがあります。メタル・テープを基盤に独自で製造したといったところでしょうか。

当時の販売価格
このチラシをみた感じではだいたい定価3,300円~3,000円が多く、当時のCDやマスター・サウンドとほとんど変わらない価格帯です。

タイトル数
マスター・サウンドと重複しているタイトルも多く、告知を含むとジャズやクラシックなどオール・ジャンルで約50タイトルはある感じです。予想以上にありますね。

中古買取価格
買取相場は5,000円以上が多数、最低価格でも1,000円以上と高額になります。
一部ですが有名タイトルをリスト化しました。上記で提示したマスター・サウンドの買取価格も下に並べてみたので参考にしてみてください。


・当店での現時点の買取金額になります。
・帯とライナー付、付属品がある場合は付属品付、盤質とジャケットの状態は美品を基準にした金額になります。

松田聖子 / SQUALL
・メタル・マスター・サウンド カセット (33KH1332)
 8,000円買取
・マスター・サウンド レコード (30AH1607)    
 8,000円買取

大滝詠一 / ロング・バケーション
・メタル・マスター・サウンド カセット (33KH1050)
 8,000円買取
・マスター・サウンド レコード (30AH1617)    
 3,500円買取

マイケル・ジャクソン / スリラー
・メタル・マスター・サウンド カセット (336P-211)
 8,000円買取

・マスター・サウンド レコード (303P-431)    
 2,500円買取

TOTO/ 聖なる剣
・メタル・マスター・サウンド カセット (33KH817)
 6,000円買取

・マスター・サウンド レコード (30AP2312)    
 1,500円買取


まとめ

帯やバージョン違いによって価値が変わる中古レコードの世界。
今回は、レコードからCDに移行しつつある時期にリリースされたマスター・サウンドの価値についてまとめてみました。
今後もレコードやCDについてのあれこれをコラムにしていきたいと思います。レコードやCDの価値や歴史、豆知識などにとても興味があるので、楽しみながらコラムを書いているスタッフのOでした。
次のコラムも考え中です。またお会いできる日を。